CMSとは?基礎知識やメリット・デメリット、選定ポイントを徹底解説
- CMSって何?
- WordPressとCMSは違うの?
- ホームページにはCMSを導入するのが正解なの?
ホームページやブログの制作において、度々耳にする「CMS」。
CMSについて、詳しい説明もないまま「便利だから」と導入をすすめられた経験がある方も多いのではないでしょうか。しかし、CMSの理解がないままホームページ制作を進行すると、意図しない形でホームページが納品されるリスクもあります。
この記事では、Web業界9年目のディレクターが、CMSについてわかりやすく解説しています。CMSの基礎知識やCMS導入の判断基準だけでなく、種類ごとの比較やCMS選定のためのチェックリストなど、この記事を読めば、自社に最適なCMSの選び方が分かるようになります。
※この記事では、Webサイトのことを一般の方にわかりやすいよう「ホームページ」と記載しています。正確には「Webサイト」のことを示しているのであらかじめご了承ください。


CMSとは、専門知識なしでホームページを管理・更新できるシステム
CMSとは、コンテンツ・マネジメント・システムのこと。ホームページ制作の専門知識がなくても、ホームページのコンテンツを管理・更新できるシステムです。
多くのCMSでは、管理画面が用意されており、管理画面にログインして操作します。イメージは、ブログサービスやWordソフトを使うようなもの。ページの追加、テキストの編集、画像の挿入などが直感的に行えます。
CMSを導入することで、ホームページの専門知識(HTML、CSS、JavaScriptなど)がなくても、管理画面からタイムリーに情報発信を行うことができます。

企業の企画担当者やマーケティング担当者、あるいは経営者自身がホームページをいつでも更新できます!
CMSの基本機能
多くのCMSは、以下の基本機能を備えています。
- コンテンツの作成・編集・削除
テキストや画像、動画などを簡単に追加・変更・削除できる。
直感的に操作できるCMSが多い。 - SEO対策機能
検索エンジン最適化(SEO)をサポートする機能・プラグインがあるCMSが多い。 - ユーザー権限管理
複数の管理者による運用が可能。管理権限を細かく設定できるため、ユーザーごとに更新できる場所に制限をかけることができる。そのため、大規模サイトの管理にも有効。 - プラグイン・拡張機能
追加機能を自由にインストールでき、ホームページの成長に応じたカスタマイズが可能。 - 多言語対応
グローバル展開するホームページ向けに、複数言語のコンテンツを管理できる機能を搭載しているCMSもある。
CMSは「オープンソース型」と「商用型」の2パターン
CMSは、提供形態やライセンスによって、主に以下の3つの種類に分けられます。それぞれの特徴と代表例を見ていきましょう。
CMSには、大きく分けるとオープンソース型と商用型の2種類があります。それぞれの特徴を解説します。
オープンソース型CMS
オープンソース型のCMSは、無料で利用でき、カスタマイズ性が高いのが特徴です。世界中の開発者コミュニティによって日々作り上げられており、拡張性や柔軟性が求められるプロジェクトに最適です。
- コストが低い
基本的に無料で使用できるため、開発にかかるコストが低い。 - カスタマイズ性が高い
コードを自由に変更でき、独自のデザインや機能を追加可能。プラグインやテーマの追加も簡単にできる。 - 開発者コミュニティが活発
公式のフォーラムでの情報共有が充実しており、対応しているエンジニアも多い。 - セキュリティリスクがある
オープンソースのため、脆弱性が狙われやすい。
代表的なオープンソース型CMS
- WordPress
世界で最も利用されているCMS。豊富なプラグインとテーマが特徴。 - Joomla!
高度なカスタマイズが可能で、多言語対応にも強い。 - Drupal
大規模なサイト向け。企業や教育機関などでの利用が多い。 - Movable Type
ブログ向けCMSとしてスタートし、近年では企業サイトにも採用されている。静的生成によりセキュリティや表示速度が強み。
オープンソース型CMSは、ブログや中小企業のサイト運営、コンテンツマーケティングに適しており、柔軟な運用が可能です。

特に、WordPressは、ホームページ全体で43%、世界のCMS全体のシェア65%。国内外で圧倒的なシェアを誇るCMSです。
商用CMS(独自開発型CMS)
企業が提供する有料のCMSで、サポートが充実しているのが特徴です。
商用CMSは、企業のビジネス要件に合わせて最適化されており、特に大規模なWebサイトやECサイトに最適です。
- 高機能なコンテンツ管理
大規模なコンテンツを効率的に管理可能。 - 高度なセキュリティ対策
定期的なアップデートや強固なセキュリティ機能を提供。 - 公式サポートとトレーニング
ベンダーによるサポート体制が充実。 - EC機能やマーケティング機能の統合
CRMやMA(マーケティングオートメーション)との連携が可能。

完全オリジナルのCMSを設計・作成して納品することもあります!
代表的な商用CMS
- Adobe Experience Manager(AEM)
エンタープライズ向けの高機能CMS。パーソナライズ機能やAI分析機能を搭載。 - Sitecore
デジタルマーケティングに強みを持つCMS。顧客体験の最適化が可能。 - HubSpot CMS
マーケティングオートメーション機能を備えたCMS。 - Salesforce Experience Cloud
Salesforceとの連携が可能で、顧客管理と連動したコンテンツ提供が可能。
商用CMSは初期コストが高いものの、高度な機能が求められる場合には有効です。
CMSを導入する7つのメリット
1: 【簡単】専門知識不要でコンテンツ更新が可能
専門的な知識がなくてもコンテンツを更新できるのは、CMSの最大のメリットです。HTMLやCSSを知らなくても、管理画面からブログを書く感覚でページ作成や更新ができます。結果、情報発信のスピードが格段に向上します。
2:【効率化】複数人での分業・共同編集が容易に
多くのCMSは、ユーザーアカウントごとに管理権限を設定できます。「記事作成担当」「承認担当」「デザイン担当」のように権限を分担し、複数人で効率的にホームページを運用できます。
3:【コスト削減】外注費や更新作業時間を削減
簡単な更新作業を内製化できるため、ホームページ制作会社への依頼費用や、専門担当者の作業時間を削減できます。結果、長期的な運用コストの低減につながります。
4:【統一感】デザインテンプレートでサイト全体の統一感を維持
テンプレート(テーマ)機能により、サイト全体のデザインやレイアウトに一貫性を持たせることができます。誰が更新しても、デザインが崩れる心配がありません。
5:【SEO】SEOに有利な構造・機能が多い
多くのCMSは、検索エンジンに評価されやすいサイト構造(パンくずリスト自動生成、適切なタイトルタグ設定など)を標準で備えていたり、SEO対策用のプラグインが豊富に用意されていたりします。コンテンツを適切に追加していくことで、自然とSEO効果も期待できます。
6:【拡張性】プラグインなどで機能追加が簡単
お問い合わせフォーム、アクセス解析連携、SNS連携、多言語対応など、必要な機能を後から「プラグイン」や「アドオン」といった形で簡単に追加できるCMSが多いです。サイトの成長に合わせて機能を拡張できます。
7:【最新性】常に最新の情報発信が可能
更新が容易になることで、常に新しい情報をスピーディーに発信できます。これは、ユーザーにとって価値あるサイトであり続けるために非常に重要です。
CMSを導入する5つのデメリット
多くのメリットがあるCMSですが、導入前に知っておくべきデメリットや注意点もあります。
1: 導入・運用コストがかかる場合がある(種類による)
オープンソースCMSはソフトウェア自体は無料ですが、サーバー代やドメイン代、場合によっては有料テーマ・プラグインの費用がかかります。クラウドCMSやパッケージCMSは、初期費用や月額(年額)の利用料が必要です。
2:操作方法の学習が必要
いくら簡単とはいえ、基本的な操作方法やCMS特有のルールを覚える必要はあります。多機能なCMSほど、学習コストがかかる傾向があります。
3: デザインの自由度に制限がある場合も
テンプレートを使用するため、完全にオリジナルのデザインを実現するには、カスタマイズの知識が必要になったり、CMSによっては限界があったりします。特に、手軽さを重視したクラウドCMSでは、デザインの自由度が低い場合があります。
4:セキュリティ対策が必須(特にオープンソース)
CMSは世界中で広く使われているため、悪意のある攻撃者のターゲットになりやすい側面があります。特にWordPressなどのオープンソースCMSは、ソフトウェア本体やプラグインのアップデート、パスワード管理、不正アクセス対策などのセキュリティ対策を自社(または委託先)で行う必要があります。

5:表示速度が遅くなる可能性
CMSは、表示する際に都度ページを生成する仕組みになっていることが多数。CMS等を導入していないHTMLホームページに比べて、表示速度が遅くなることがあります。画像の最適化やキャッシュ機能の利用、サーバー環境の見直しなど、表示速度への対策が必要になる場合があります。
CMS導入が適していないサイトの特徴
- 更新頻度が低く、ページ数が少ないサイト
- 特殊なデザインや機能が必要なサイト
- 超高速表示を求めるサイト
- 高度なセキュリティが必要なサイト
CMSにはどんな種類がある?特徴と選び方を解説
オープンソースCMS
- 特徴: ソースコードが無償で公開されており、誰でも自由に利用、改変、再配布が可能です。世界中の開発者コミュニティによって開発・改善が進められています。カスタマイズの自由度が非常に高いのが魅力です。
- 代表例:
- WordPress(ワードプレス): 世界シェアNo.1。ブログから大規模サイトまで対応。豊富なテーマ・プラグイン。
- Drupal(ドルーパル): 高機能でセキュリティに定評。大規模・複雑なサイト向き。
- Joomla!(ジュームラ): WordPressとDrupalの中間的な位置づけ。多機能。
- EC-CUBE(イーシーキューブ): 日本発のECサイト構築に特化したオープンソースCMS。
- メリット:
- ソフトウェア利用料が無料。
- カスタマイズの自由度が非常に高い。
- 豊富なテーマ(デザインテンプレート)やプラグイン(拡張機能)が存在する。
- 世界中に利用者が多く、情報やノウハウを見つけやすい。
- デメリット:
- サーバーやドメインは自分で用意・管理する必要がある。
- セキュリティ対策は自己責任。
- 公式なサポート窓口がない(コミュニティフォーラムなどが中心)。
- 導入や高度なカスタマイズにはある程度の知識が必要。
クラウドCMS (SaaS型)
- 特徴: ソフトウェアをインストールする必要がなく、インターネット経由でサービスとして提供されるCMSです。サーバーやソフトウェアのアップデート管理はサービス提供側が行うため、手軽に始められます。多くは月額または年額のサブスクリプションモデルです。
- 代表例:
- Wix(ウィックス): ドラッグ&ドロップで直感的にサイト作成可能。デザイン性の高いテンプレートが豊富。
- Jimdo(ジンドゥー): 簡単操作が特徴。小規模サイトや個人事業主向け。AIビルダー機能も。
- Shopify(ショッピファイ): ECサイト構築に特化したクラウドCMS。世界的にシェアが高い。
- STUDIO(スタジオ): デザイン性の高さとコーディング不要な点が特徴。日本発。
- メリット:
- サーバーやドメインの準備・管理が不要(またはサービスに含まれる)。
- ソフトウェアのインストールやアップデートの手間がない。
- 専門知識が少なくても比較的簡単に始められる。
- サポート体制が整っている場合が多い。
- セキュリティ対策は基本的にサービス提供側が行う。
- デメリット:
- 月額(年額)の利用料がかかる。
- オープンソースCMSに比べてデザインや機能のカスタマイズ自由度が低い場合がある。
- サービス提供側の仕様変更の影響を受ける。
- サービスを乗り換える際のデータ移行が難しい場合がある。
パッケージCMS
- 特徴: ソフトウェアベンダーが開発・販売している商用のCMS製品です。特定の機能に特化していたり、大企業向けの高度な機能やセキュリティ、手厚いサポート体制を備えていることが多いです。ライセンス費用や導入費用が高額になる傾向があります。
- 代表例: (ターゲット読者層に合わせて具体的な製品名を記載。例: Movable Type, NOREN, Sitecore, Adobe Experience Manager など)
- Movable Type(ムーバブルタイプ): ブログツールとして有名だが、高機能な商用CMSとしても利用される。再構築による静的ファイル生成が特徴。
- NOREN(ノレン): 大企業や官公庁での導入実績が多い。安定性やセキュリティを重視。
- (その他、ターゲットに応じて具体的な製品名を追記)
- メリット:
- 高機能で、特定の業務要件に対応できる場合がある。
- ベンダーによる手厚いサポートや保守が受けられる。
- セキュリティレベルが高い製品が多い。
- 大規模サイトや複数サイトの一元管理に適した機能を持つものがある。
- デメリット:
- 導入費用(ライセンス料)や保守費用が高額になることが多い。
- オープンソースCMSほど情報が多くなく、カスタマイズに専門知識が必要な場合がある。
- 特定のベンダーに依存する形になる。
CMS導入時の注意点
CMSを導入する際は、以下の点に注意しましょう。
CMS選定のチェックリスト
- 導入目的は明確か?(例:ブログ運営、ECサイト、コーポレートサイト)
- 管理・運用の担当者は決まっているか?
- カスタマイズの必要性はどの程度か?
- 必要な機能を備えたCMSか?(例:SEO対策、マルチユーザー管理、拡張性)
- コスト面でのバランスは取れているか?(初期費用・維持費・カスタマイズ費)
- セキュリティ対策は万全か?(定期更新・バックアップ機能)
- サポート体制は充実しているか?(無料コミュニティor有料サポート)
① 導入目的と要件の明確化
自社の目的に合ったCMSを選ぶことが重要です。
② セキュリティ対策の徹底
定期的なアップデートやバックアップを実施しましょう。
③ 操作トレーニングの実施
運用担当者がスムーズに管理できるよう、事前にトレーニングを行うことが必要です。
まとめ
CMSはWebサイトの管理を効率化し、SEO対策やデザイン統一を容易にします。しかし、導入にはコストや学習が必要であり、適したサイトとそうでないサイトがあるため、自社のニーズを考慮した選定が重要です。
CMS導入の判断基準(比較表)
項目 | WordPress | Joomla! | Drupal | Movable Type | 商用CMS |
---|---|---|---|---|---|
カスタマイズ性 | 高い | 中程度 | 非常に高い | 中程度 | 低い~高い(製品による) |
操作のしやすさ | 簡単 | やや難しい | 難しい | 簡単 | 直感的(サポートあり) |
コスト | 無料(追加機能は有料) | 無料 | 無料 | 有料(買い切り・サブスク両方あり) | 有料 |
セキュリティ | 定期更新が必要 | 定期更新が必要 | 高い(管理が必要) | 高い(静的生成による安全性) | 高い(サポートあり) |
適したサイト | ブログ・中小企業 | コミュニティサイト | 大規模サイト | ブログ・企業サイト | 企業向けサイト |
この比較表を参考にし、自社に適したCMSを導入し、効果的に活用しましょう。
Movable Typeは Six Apart Ltd. の商標または登録商標です。