ホームページはいらないって本当?SNSとの違いや関係性を解説
- ホームページって本当に必要なの?と感じている方
- SNSがあれば十分だと感じている方
- ホームページに予算を割くのがもったいないと感じている方
SNS全盛期の昨今。X(旧Twitter)やInstagramでは「ホームページは不要!SNSだけで十分です!」という意見を述べているアカウントが増えてきたと感じています。 しかし、ホームページとSNSは担っている役割や得意分野が全く違うため、SNSだけでホームページの役割まで果たせるとは言えません。ホームページは、現代のビジネスにおいて不可欠なツールであるにもかかわらず、投資すべきかどうか悩んでいる経営者さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、ホームページが担う役割について、業界歴11年目のWebディレクターがわかりやすく解説します。この記事を読むことで、貴社のビジネスにホームページが必要かどうか、自信を持って判断できるようになるはずです。

SNSとホームページが担う役割は180度異なるため、どちらも適切に使いこなセルかどうかが事業成長の鍵を握っています。
SNSとホームページは「どちらか」ではなく「どちらも」が正解。しかし、事業フェーズによっては、ホームページが不要な場合もあります。
ホームページとSNSの役割の違い
SNSは拡散力に強いツール
SNSは総じて拡散力に特化しています。もちろんSNSごとに特徴が異なるので、一概に拡散力が高いとは言い切れません。しかし、ホームページに比べると、ユーザーに能動的に情報を届ける力があります。
一方、ホームページを拡散力という視点で見るとほとんどゼロ。ホームページは、ユーザーがGoogleなどの検索エンジンを使用して検索をすることで、初めて検索結果に表示されます。その検索結果の中から選ばれなければ、誰にも見てもらえません。
ホームページは伝達力に強いツール
では、ホームページが担う役割とはなんでしょうか。 それは、ユーザーが知りたい情報を、ユーザーのペースに合わせて届けられるという営業力です。来訪したユーザーに対して、丁寧に整理された情報を届けることができるので、知りたい情報が的確に伝わり、安心感・信頼感が醸成されます。
一方SNSでは、情報を整理して伝えることはほぼ不可能です。キャッチーなフレーズや引きのある内容が大半なので、料金体系やサービス内容を正しく伝えることは難しいのが現状です。
SNSは広報担当者、ホームページは営業担当者の代わりを果たす
SNSがユーザーに自社やサービスの存在を知らせる役割で、ホームページは興味を持ってくれたユーザーにより詳しく説明すると役割を果たしています。これは、広報担当と営業担当の関係性に似ています。だからこそ、SNSとホームページは敵対するものではなく、相互補完し合う関係にあると考えられます。
つまり、SNSとホームページはどちらか一方ではなく、どちらも導入するのが現代のビジネスにおける最適解です。
SNSだけ運用する場合のリスク
SNSはあくまでも他社のプラットフォームを使って情報を届けているに過ぎません。そのため、突然アカウントが停止したり、アルゴリズムの変更で全く投稿が届かなくなるというリスクがあります。SNSだけでビジネスをしていると、アカウントが停止(垢バン)されてしまった場合、今まで積み上げてきたものが一瞬でゼロになる怖さを孕んでいます。
最近では、無形商材を取り扱う会社や個人が、公式LINEで詐欺と認定されアカウントが消されてしまうという事件が頻発しました。せっかく育てたアカウントが突然消されるリスクは、公式LINEだけでなく、どのSNSでも起こりうる事態です。
ホームページだけで短期的に結果を出すのは難しい
ここまで読んでくださった方の中には、「ホームページってやっぱり必要なんだ!効果が高いツールなんだ!」と認識を改めてくださった人もいるかもしれません。しかし、ホームページに過度な期待をして投資しすぎるのも、危険な行為です。
というのも、ホームページは、効果が出るまでに時間がかかる傾向があり、特に新規ドメインの場合は数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。公開してからどれだけ運用に力を入れるかで結果が変わります。そのため、SEO対策の実施やコンテンツ作成など、専門的な知識や継続的な運用努力が不可欠です。
公開してからすぐに結果を求めるのではなく、ユーザーが知りたい情報を的確に届けるという、営業マンの意識を持って運用することが大切です。
SNSを運用するメリット・デメリット
SNS運用のメリット
拡散力が高い
「いいね」や「シェア」機能により、情報が短期間で広範囲に拡散される可能性があります。特にトレンド性の高い情報や共感を呼ぶコンテンツは爆発的に広まることがあります。
ユーザーとのコミュニケーションが容易
コメントやDMを通じて、ユーザーと直接的かつ双方向のコミュニケーションが可能です。顧客の声をリアルタイムで把握し、関係性を深めることができます。
低コストで始められる
基本的に無料でアカウントを作成し、情報発信を始めることができます。広告を出稿する場合も、Web広告の中では比較的少額から試すことが可能です。
ターゲット層へのリーチ
各SNSのユーザー層や特性を理解することで、特定のターゲット層に効率的にアプローチできます。例えば、若年層にはInstagramやTikTok、ビジネス層にはYouTube、公式LINE、音声配信などが有効です。
リアルタイムな情報発信
最新情報やキャンペーン告知など、鮮度の高い情報を即座に発信できます。ライブ配信機能を持つSNSメディアは、イベントの実況中継などにも活用できます。
SNS運用のデメリット
情報の信頼性が低いと見なされる場合がある
誰でも気軽に発信できる反面、情報の信憑性に欠けるという印象を持たれることがあります。特にBtoBビジネスにおいては、SNSだけの情報では信頼を得にくい場合があります。
炎上リスク
担当者の不適切な発言や対応が原因で、批判が殺到し「炎上」するリスクがあります。一度炎上すると、企業イメージの回復に時間とコストがかかることがあります。
情報が流れやすい
情報が次々と流れていくため、引きのある他社コンテンツに埋もれてしまいがち。継続的かつ質の高い発信が求められます。
プラットフォームへの依存
アカウント停止や規約変更、アルゴリズムの変動などの影響を受ける可能性があります。プラットフォーム側の都合に左右されるのはリスクです。
詳細情報の掲載に不向き
各SNSには投稿の制約があるため、適切な形で情報を届けることが難しい場合があります。例えば、サービスの詳細な説明や複雑な料金体系などを伝えるのには向いていません。
ホームページを持つメリット・デメリット
ホームページを持つメリット
信頼性の向上
内容やデザインが計算されて作られたホームページは、企業の信頼性や専門性を高めます。また、独自ドメインでの運用も重要です。細かなところに気を配ることで、意図的に顧客や取引先に対して安心感を与えることができます。
情報発信の自由度が高い
デザインや掲載コンテンツ、情報量などに制限がありません。自社のブランドイメージに合わせて自由に情報を発信することが可能。詳細なサービス内容、企業理念、実績紹介など、伝えたい情報を網羅的に掲載できます。
24時間365日働く営業マン
一度作成すれば、ホームページは24時間365日、潜在顧客に対して情報を提供し続ける「オンライン上の営業マン」としての役割を果たします。
資産となるコンテンツ
ホームページ上のブログ記事や導入事例などのコンテンツは、長期的に集客に貢献する資産となります。SEO対策を施すことで、検索エンジンからの継続的なアクセスが期待できます。
詳細な分析が可能
Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを導入することで、訪問者の属性や行動、流入経路などを詳細に分析できます。データに基づいた改善活動が可能です。
ブランディング・発信の拠点
企業やブランドの世界観を表現し、顧客に一貫したメッセージを伝えるための中心的な拠点となります。
ホームページを持つデメリット
制作・維持コストがかかる
制作には専門知識が必要なため、外部に委託する場合は数十万円から数百万円の費用がかかることがあります。また、サーバー代やドメイン代、更新作業などの維持コストも発生します。
効果が出るまでに時間がかかる
特にSEO対策は効果を実感できるまでに数ヶ月から1年以上かかることもあります。短期的な成果を求める場合には不向きです。
集客の工夫が必要
ホームページをただ作成しただけではアクセスは集まりません。SEO対策、SNS連携、広告出稿など、能動的な集客施策が必要です。
専門知識が必要な場合がある
更新作業やトラブル対応など、ある程度のWeb知識が必要になる場面があります。社内に担当者がいない場合は、外部にサポートを依頼する必要が出てきます。
ホームページが不要な場合6選
全てのビジネスにホームページが必須というわけではありません。以下のようなケースでは、ホームページがなくても事業運営が可能な場合があります。
01:事業開始直後でリソースが限られている場合
まずはSNSや無料のブログサービス、ポータルサイトへの掲載などで認知度向上や顧客獲得を目指し、事業が軌道に乗ってからホームページ制作を検討するのでも遅くありません。
02:主な集客経路が口コミや紹介である場合
特定の地域やコミュニティに根ざしたビジネスで、既存顧客からの紹介や口コミだけで十分に集客できている場合は、優先度は低いかもしれません。
03:プラットフォーム依存のビジネスモデルの場合
例えば、Amazonや楽天市場などのECモール内での販売がメインで、自社ブランドの訴求よりも商品力で勝負している場合などです。ただし、将来的なブランド構築を考えると、やはりホームページは有効です。
04:期間限定のプロジェクトやイベントの場合
短期間で終了するプロジェクトやイベントの場合、専用のLP(ランディングページ)やSNSアカウントで十分な場合があります。
05:ターゲット顧客が限定的で、オフラインでの接点が中心の場合
高齢者向けのサービスで、インターネット利用者が少ない場合や、対面での信頼関係構築が最重要であるビジネスなどです。
06:事業の急激な成長を見込んでいない場合
筆者の実家は、電気工事業を営んでいますが、既に既存の取引先の仕事だけで安定しているので、これ以上仕事を増やすつもりはないそうです。当然ホームページの営業電話がガンガンかかってくるそうなのですが、全て断っています。このように、事業基盤が安定しており、当面急激な成長を見込んでいない場合は、ホームページを敢えて作成しないという選択肢もあります。
上記6つのケースでも、将来的な事業拡大や信頼性向上を考えると、どこかのタイミングでホームページを持つことも検討する必要が出てくると思います。
まとめ:SNSとホームページはどちらも重要
SNSとホームページは、それぞれ異なる強みと役割を持っています。SNSは「拡散力」と「コミュニケーション」に優れ、多くの人にリーチし、関係性を構築するのに役立ちます。一方、ホームページは「信頼性」と「情報集約力」に優れ、顧客に安心感を与え、詳細な情報を提供し、ブランドイメージを確立する拠点となります。
結論として、多くのビジネスにとってSNSとホームページは「どちらか一方」ではなく「どちらも」活用するのが理想的です。
- SNSで認知を拡大し、興味関心を喚起する。
- ホームページで詳細な情報を提供し、信頼を獲得し、最終的なアクション(問い合わせ、購入など)に繋げる。
このように、それぞれの特性を理解し、連携させることで、より効果的なマーケティングが実現できます。
もちろん、事業のフェーズや業種、ターゲット顧客によっては、どちらか一方に注力する時期があっても良いでしょう。例えば、起業初期で予算やリソースが限られている場合は、まずSNSで顧客との接点を作り、実績を積み重ねてからホームページを整備するというステップも有効です。
重要なのは、自社のビジネスモデルや目的に合わせて、それぞれのツールを戦略的に使い分けることです。この記事が、あなたのビジネスにおけるホームページの必要性を見極める一助となれば幸いです。